「現在老人クラブ約五百名その智慧を結集して百年先の私達の子孫のために先輩達から聞いたことをもとにして研究したことを書きのこします。」(まえがきより)
昭和60年9月、すたれていく伝承文化に危機感を持った老人クラブのみなさんが、7年をかけて編集した『宮の窪地誌』が発行されました。
この本には、個人の家だけに伝わるものや、小地域だけに伝わるものなども集められており、現在の古老のみなさんでも知らないことまで書き残されているそうです。
つい先日、宮窪町で一番高い山、念仏山に関わるある伝承を調べていて、この地誌にたどりつきました。私が調べていたことは、この地誌にしか書いてなかったため、この伝承が史実であるかどうかを検証するのは簡単なことではありません。しかし、このように記録にとどめておけば、新しい資料の発見とともに、それが証明されることだってあると思います
子孫のために地域の歴史文化を伝えていきたい、という当時の老人クラブのみなさんの熱い思いに感激しました。『宮の窪地誌』は非売品です。当館には一冊しかないので、学芸員の手もとに置いております。閲覧されたい方は遠慮なくお声かけください。(K)