今年の暑さは、例年になく異常です。
能島は海に覆われているにもかかわらず8月7日の午前11時頃、体温36.5℃( 写真は36.2℃ )に達しました。( 日付と時間はともかく )
というわけで、なかなか現場作業がハカドリません。。。
一方で、船だまり方面の通路調査は2箇所において、通路と見られる遺構が確認され始めました。
今年はトレンチ調査のほかに、謎の大穴調査があります。
能島城には海岸部分に、岩礁ピットと呼ばれる直径10~20cm程度の穴がたくさんあり、直径1mもの大きな穴が能島南部海岸と東部海岸の2箇所で確認されています。
南部海岸 大穴1
東部海岸 大穴2
この大穴は、大三島の上浦にある甘崎城の海岸部分に同じ規模のものがありますが、規模や構造がとてもよく似ています。但し、場所に関して言えば、甘崎城は海岸部分のテラスに対で所在するのに対し、能島の大穴は、それぞれ違う場所に所在します。
上写真のように大穴1は、海岸部分の浸食によって既に穴の底だけの状態になっていますが、もともとは大穴2同様、深さが1.8m~2m程度あったものと思われます。
今回の大穴調査は、大穴2を半分掘ってその構造や規模、埋没年代の把握を行うためです。
今のところ、堆積土砂の中から数点、土師質土器の小片が検出されており、内部堆積断面の剥ぎ取りを行った後、できる限り半分掘り下げる予定です。
この暑さの中、この時期に限定される作業があります。
それは海岸部近くに所在する 「 謎の大穴 」 のカタドリ作業です。
特殊なシリコン材で固め、FRP(強化ガラス繊維)で覆い、現場の地表面や土の堆積状況をそのままスタンプしちゃいます。
海岸部分ですので、決まった時間に水没しちゃいますから、潮汐表であらかじめ確認し、暑い時期と雨があまり降らない時期、そして大潮ではなく小潮の時期を狙いました。
それでも満潮近くになると、別の場所へ移動するときは「スパイダーマン」状態でガケをカニ歩きしないと、海の中を泳がないといけません。
結局、大穴2のカタドリは樹脂硬化後、船で能島の南部平坦地へ回送後一時保管となりました。
氷の塊のようですが、業者の工房へ持ち帰り、色づけと土砂づけを行います。
海岸部分での作業らしく、写真撮影時は登場しなかった 海の生き物 がそのままパックされちゃいました。
翌日は作業時間を早め、潮が引いている間、最大限作業できるように、早朝から作業開始。
夕方には無事、宮窪港まで搬出できました。
年度内に再現作業を進め、新年度には博物館内に登場する予定です。
なぜこの大穴をカタドリするのか。
その大きな目的の一つに、海岸部分の浸食やテラスの崩壊等によって貴重な遺構が破壊されないよう再現し保護すること と、今の状態を3次元で保管。博物館でも広く周知していただくことを最大の目的としています。( iD )
※ 調査中につき画像は不許転載でお願いいたします。