2013年1月18日金曜日

学生さんと能島へ

アメリカからT大学へ留学中の大学院生Mさんと能島城を散策しました。


Mさんは、中世瀬戸内海の研究をされているそうで、来月まで日本で勉強をされるそうです。
中世の瀬戸内海を語る上では、海賊史、とりわけ村上水軍の研究は欠かすことのできないということで、今回、当館に調査に来られました。

実際に能島城跡に上陸し、村上水軍の歴史を体感したいということだったので、私も同行し、これまでの発掘調査成果などを踏まえて、ご案内させていただきました。


能島城跡の最大の特徴は海岸部にあると言っても過言ではありません。
来島城散策の記事でも説明しましたが、岩礁ピットや海蝕テラスが能島城跡でも多く残っています。Mさんも、やはり海岸の遺構に興味を示されたようでした。


能島城跡をひと通り散策した後は、潮流体験船に乗って海上から見学しました。
潮汐表を見て、この日の最強の時間に見学を設定しましたので、約6ノット(時速約11km)の速さで流れる満ち潮を体験していただくことができました。能島城の散策、潮流体験には、潮汐表は欠かせませんね。

能島東側(矢櫃の下)の潮流。満ち潮、約6ノット。

Mさんは、日本語が堪能で、能島城に関する論文などをかなり勉強してこられたようですが、実際に現地を訪れてはじめて実感できたこと、わかったことが多かったとおっしゃってました。

来月には帰国されるそうですが、良い博士論文を書いていただき、その成果をいつか教えてくださいね、とお願いしました。

今回のように、研究の目的で能島城を散策したいという学生さんがおられましたら、気軽にご相談ください。業務の都合によりますが、ご希望があれば学芸員が同行し、ご案内させていただくこともできます。(K)


ちなみに、能島城跡へは定期船はございませんが、上陸は特に制限されていません。
事前の相談が必要ですが、渡船業者や宮窪町漁協が運営する潮流体験船で上陸することもできます。もちろん渡船代が必要になります。

ただし、能島城跡は国指定史跡であるとともに、瀬戸内海国立公園特別区域に位置しますので、火気厳禁はもちろんのこと、ゴミの放置や、史跡の損壊につながるような行為はおやめいただくよう、管理団体(今治市)としてお願いしております。