今回は、能島城で出土した網につけたおもり作りを再現してみることにしました。
事前に、「粘土板を持ってきてください」と案内していたのですが、「粘土板ってなに?」という反応。Kが小学生の時は、図工の時間に粘土細工がありました。いまでも実家に帰ると、何を作りたかったのかよくわからない、でも見方によっては独創的で芸術的?な人形がまだ玄関にあります。
教室生に聞いてみましたが、今は粘土細工の時間はあまりないそうです。
土器作りを通して、昔のものづくりを体験しようとするこの時間は、とても貴重だというわけですね。
能島城で出土したおもり。網は腐って無くなったのでしょう。 |
能島城出土のおもり。実物は企画展「ここまでわかった能島城」でご覧ください! |
みんなで作るのは、能島城でたくさん出土している「網につけたおもり」。
じつは現在も使っている「タテアミ」のおもりは、能島城から出土するおもりの形や材質とあまり変わりません。
昭和時代の網。漁師さんいわく「キスゴダテ」 |
能島から出土する土のおもりと大きさや形はあまりかわりません。 |
宮窪の子供たちは、漁師さんが網を手入れする姿を日常的に目にしています。
見慣れた風景に歴史を感じ、それを体験してもらおうと題材に選んだのが土のおもり。
考古学者はこれを「土錘」(どすい)と呼びます。
先輩たちの作品を紹介し、次は作り方の説明。
まずは問いかけます。
竹べらと矢竹の枝を切ったもの |
「この道具と粘土を使って、どうやって作ったのでしょう。」
ネタバレを防止するため、くわしい解説は省略しますが、子供たちはすぐにわかったようで、さっそく製作にとりかかりました。
「冷たい」「汚い」と少々文句を言いながらも、楽しそうに粘土を練っていました。
時折、粘土が飛び交ってましたが・・・。
みんな出土品や昭和の網のようには、綺麗にできなかったようです。
確かに、出土品は形や大きさがある程度揃っていて、表面もなめらかに調整されています。中世の職人の技を感じる瞬間でした。(ねらいどおり)
確かに、出土品は形や大きさがある程度揃っていて、表面もなめらかに調整されています。中世の職人の技を感じる瞬間でした。(ねらいどおり)
最後に竹串で名前や好きな印を入れて完成です。焼いたあとに自分の作品がわかるように。
ノルマは土錘10個。作ったあとはなんでも自由に作って良いということにしました。
皿やハニワに挑戦する教室生もいました。実物より小さいものしかできませんでしたが、作り方は当時の技法を参考に。
小学生の探検教室の一貫ですが、じつは博物館の実験も兼ねています。左が大島の粘土。右が市販の粘土です。左の大島の粘土は、元左官さん(壁などを塗り上げる職人さん)でミュージアムパートナーのT頭さんが持ってきてくださったものです。目が細かく粘りがあってとても良い粘土でしたが、子供たちはやはり市販の粘土の方が作りやすいと言っていました。
ただ焼き上がったら本物と近いのはどちらか。それは一目瞭然です。お楽しみに。
実際に焼くのは2月の予定です。それまで倉庫の棚で乾燥です。
まちなか探検教室生のみなさん、お疲れさまでした!焼くのが楽しみですね。
ただ・・・
愛着や馴染みが薄いのか、粘土板、全員が博物館に忘れてますよ!
(K)