2013年1月27日日曜日

小さなかけらから想像する

昨日は、休日を利用して、愛媛県美術館の企画展「出光美術館所蔵 文人画名品展」を鑑賞しました。

池大雅、与謝蕪村、富岡鉄斎など日本文人画の名作の鑑賞はもちろんのこと、私がこの企画展を見たかった最大の目的は、特別出品として初めて里帰りした、伝伊予松前城出土の重要美術品“青白磁渦文梅瓶”を見ることでした。同展のチラシなどに小さく載っている青白い瓶をご覧になられたことがありませんか・・・そう、その瓶です。

なぜ見たかったか。
展示解説でも紹介していただいていましたが、この青白磁渦文梅瓶の小さな破片が、能島城でも3点ほど出土しているからです(写真はその一つ)。完全な形を見ておくことで、小さなかけらから、その形を想像することができます。しっかり目に焼き付けてきました。与謝蕪村や富岡鉄斎の名作を何十分も鑑賞されている方がいらっしゃいましたが、私も負けずにこの梅瓶を15分も見てました・・・。

梅瓶(めいぴん)は、梅枝を飾るのにふさわしい形をしていることから、このように呼ばれるそうです。中国のもので、南宋~元の時代の作と考えられています。日本でいうと、鎌倉時代頃です。

能島城跡の南部平坦地から出土した“青白磁渦文梅瓶”の破片。
青白い色調で、渦のような文様が刻まれています。
伝松前城出土の梅瓶は、もっと光沢があり、緻密で、
渦文は数条の細い線で描かれていました。☆不許転載

これが、少し時代の下った室町時代の遺跡からも出土します。能島城や湯築城などがそうです。なぜでしょうか。おそらく、高い骨董的な価値があって、大名や海賊衆がそれを大事に持っていたんだと考えられています。とても貴重なものだったのですが、能島村上氏もそれを手に入れて、能島城に飾っていたのでしょう。

企画展「出光美術館所蔵 文人画名品展」は、今日(1月27日)までです。お近くの方はぜひご覧になってください。

ちなみに、昨日の午後は、愛媛大学で開催された第13回アジア歴史講演会「考古学における新年代論の諸問題」を聞きに行ってきました。最近は発掘調査報告書の執筆に追われていて、デスクワークが多かったので、勉強の一環ではありますが、刺激的な一日でした。(K)